2025年6月5日木曜日、のらニュースでございます。
梅雨が見えてきましたね
東京は昨夜、突然のゲリラ豪雨が降りまして、天気がいよいよ梅雨の準備、そして夏に向けての準備が進んできているなという印象を受けます。
寒暖の差も激しい時期ですので、皆さまどうかお体を壊されないようにしてください。
さて、今日は私の主戦場であるところのメディア関連の情報がいくつかありましす。
選挙関係のSNS名誉毀損「即日削除」の議論
それでは、まず最初のニュースをご紹介いたします。
3日に開かれた自民党の選挙制度調査会などの合同会議において、SNSによる選挙の影響や名誉を傷つける投稿について、速やかに削除するように事業者側に促す規定を盛り込むことが話し合われていたそうです。

個人的には、憲法で定められた「言論の自由」をなるべく守るべきだと思いますので、選挙に関わる内容であっても、公権力の介入は最大限抑えてほしいという願望があります。また、速やかな削除が技術的に可能だとしても、体制的にそれができるのかという問題もあります。
SNSを運営する会社の多くは外資系であり、日本人スタッフや日本の窓口があるとはいえ、最終的な判断は本国が下すしかない場合が多いです。そのため、日本のためだけにどれだけの人員や費用を投入できるかが問題になります。
現実的じゃないからこその“対案”
費用対効果を考えると、コストパフォーマンスに合わず、「もう面倒だから日本から撤退しようか」ということにもなりかねません。そうした可能性を考えると、個人的にはこの対策はあまり望ましい流れではないのではないかと心配しております。
これが昨日の与党・自民党の会合で示されたということですが、細かい内容については確認できていません。
言論の自由を最大限尊重する立場から考えると、速やかな削除は現実的にも理想的にもあってはならないと思います。もし問題があった場合、拡散を防ぐ方法はあってもよいかもしれませんが、削除は最終手段であるべきです。
例えば、X(旧Twitter)では最近、第三者が報告できる「コミュニティーノート」機能が導入されています。そうした機能を使い、公的にデマ認定できる仕組みを設けつつ、投稿者が弁明できる場を設けるなどの対応が考えられるのではないかと思います。
業界団体の加盟11社が自主規制
次に関連する話題をご紹介します。これは昨日、4日に報じられたニュースですが、
電子コミックの配信大手が加盟している業界団体、日本電子書店連合が政治的な表現を含む広告について、全年齢向けのサイトでの配信を停止したことが明らかになりました。

これは、いわゆる「エロ広告」と呼ばれるキャッチーなフレーズで国会でも議論されている内容です。4月末あたりからこの広告が配信されていないことが報じられています。
4月末の会議で加盟する11社全てが全年齢向けサイトでの広告出稿をやめることを決め、そのため1か月半ほど配信されていない状態が続いているようです。
こうした広告は、特にスマホで見る方が多いと思いますが、様々なサイトで、漫画のコマを利用して性的欲求を掻き立て、誘導する目的があります。
必要な人にはよいかもしれませんが、全年齢向けのサイトにこうした広告が載ると子どもが見る可能性があり、それを問題視する声があります。
法規制の可能性を考えると、まだマシな印象
この話題についてどう話せばよいか悩んだのですが、改めて申し上げますと、基本的には表現の自由を尊重するべきであり、広告もその範囲に含まれるものだと思います。
したがって公権力が介入することは決してあってはならないと考えています。その点において、業界団体の自主規制で留まるのならば、まだ良かった方の落としどころだと思います。
一方で、こうした広告を排除したいという主張もあり、法規制まで求める方もいます。法規制となれば公権力の介入となるため、自主規制でコントロールできるのであれば、まだよい状況だと感じています。
ただ、業界そのものが自主規制により萎縮しているのは間違いなく、本来ならばそのような萎縮はないほうがよいとも考えています。
「これはあくまでフィクション」を共通認識に
では、どうするのかということですが、子どもが見る可能性のあるサイトに低俗な広告があるのはよろしくないという懸念は理解していますし、性犯罪の発生をなるべく防ぐべきだと思います。
しかし結局のところ、それを受け取る側の判断による部分が大きいです。
たとえば昨日の暴露系YouTuberの話もそうですが、「暴露系コンテンツの提供者のみが悪い」とする議論になりがちで、発信側を規制したり、間にフィルタリングをかけて届かないようにしたりするべきだ、という意見ばかりが目立ちます。
私はむしろ受け手側、つまり視聴者や閲覧者の理解と判断が重要だと思います。昨日の話でも、発信側は正義感で発信しているわけではないが、受け手側はそれを正義感だと感じてしまう、つまり最終的には受け手の理解の問題だという結論に至りました。
同じように、マンガ広告は「これはあくまでフィクションである」という大前提を共通認識として、現実と混同しない価値観を作ることが最も大事だと思います。
見えない場所に隔離する「ゾーニング」を主張する声も
これはあくまでもフィクションの世界であり、同じことを現実社会で自分がやろうとしても道理に反することなのだという倫理観を一人一人が持たなければ、根本的な解決にならないと思います。
また、「ゾーニング」という考え方があります。ゾーンを限定して、例えば全年齢向けサイトとは別の場所で広告を打つ形にするというものです。公的な規制により、これを行うべきだとの意見もあります。

ゾーニングの分かりやすい例が、タバコの広告です。現在では20歳以上であることを確認しないとほとんど見られないように規制されています。JT(日本たばこ産業)のサイトなどを見ると、20歳以上ですかと問われ、「いいえ」を選ぶと閲覧できない仕組みになっています。これは一種のゾーニングと言えます。
「見えないからこそ、見たくなる心理」にどう向き合うか
ただ、ゾーンを限定することは単に目隠しに過ぎず、「チラリズム」という表現がありますが、隠されているからこそかえって見たくなるという側面もあります。近年レンタルビデオ店は減りましたが、昔の中高生がのれんの向こう側に入りたがった心理に似ています。
隠されているからこそ妄想が膨らみ、思わぬ行動につながる可能性もゼロではありません。したがって「表現の自由」と、「思わぬ二次被害を招く可能性」の両面から考えると、私はゾーニングにはあまり賛成できません。
むしろ、一人一人の受け手が、「自分が何を受け取っているのか」をしっかり把握して、「これは嘘、これは本当」「この広告はあくまで漫画コンテンツの宣伝に過ぎない」ということを理解し、「広告はクリックさせるためのものだ」ということまで、自分の頭で考えられるような情報の使い方を身につける方向が望ましいと考えています。
それではまた次回お会いしましょう。
(以上はコラムニスト・城戸譲が、ポッドキャスト「のらニュース」などで話した内容を、AI文字起こし・要約によってブログ記事化したものです。公開時点で最新情報ではない可能性があるため、その点はご了承ください)