2025年10月21日火曜日、のらニュースでございます。
3年前にフリーランスになった
本日、高市早苗自民党総裁が総理大臣に就任いたしました。この機会に、私がここ3年ほど続けてまいりました政治に関することをひと区切りさせる決意をいたしました。
振り返りますと、ちょうど3年前に会社を辞めてフリーランスになったのですが、それに前後して2年半前に行われた杉並区議会議員選挙、私の地元で生まれ育った場所で、663票というありがたい票をいただきつつも落選したわけです。
その後、元々フリーライター、コラムニストとしてお仕事をしつつ、政治関連のSNSなどで情報発信をしてきましたが、このたび政治関連の発言を終了することに決めました。ちょっと政治と距離を置きたいという思いが非常に強まったためです。
理由を簡単に説明しようと思いますが、高市さんがどうこうというわけではありません。
「私の理想」と「大多数の理想」が埋めがたくなった
参院選からここ3ヶ月ほどの日本の政治を取り巻く状況、もっと言うと去年の兵庫県知事選あたりから起きてきたことが、最初の理由です。私はコラムニストとしてSNS周りの炎上やそういったものを中心に取り上げてきました。
端的に言いますと、私が考える理想の日本の未来と、世の中の大多数が望んでいる未来が大きく異なります。そして、それは私が政治でどうこうしようとしても変えがたいほどのギャップになっています。
そうなると、私が異質な存在として発言し続けるよりも、大多数の人たちが求めているものから距離を置いた方が、私自身の精神的・肉体的負担が軽減されるのではないかという思いが強くなったのです。
「対立構図」を描きたがる人々が増えている
高市さんそのものについてどうこうではないと申し上げましたが、高市さんの支持者の方々は非常に強い良い考えや発言をしています。彼女のような「強い保守」を求めるのは世の中の流れに合致しているのでしょうが、そうすることでさらなる分断が生まれてしまうことが、私がずっと懸念していることです。
さっき、去年の兵庫県知事選あたりからという風に言いましたが、オールドメディアとネットメディアの対立構図を作り上げ、旧態依然とした何かを打破することが求められる構図は、ここ1〜2年、もっと言うと東京都知事選においても非常に強く見られた現象でした。しかし、こうした流れが、さらに強まっているという背景があります。
その流れの中で、例えば「財務省解体デモ」や、備蓄米の放出について「農協を解体するべきだ」というような盛り上がりもありました。
トップが言わないと、事態は改善しない
そして、「石破政権はかなりの左翼である」とのレッテルをもとに、「保守に回帰すべきだ」という動きが見られます。
石破内閣やその支持者を必要以上に批判することで、高市さんを相対的に評価する動きが、SNS上では昨年の総裁選から見られ、今も改善されていない現状があります。
ただ、兵庫の場合は斉藤元彦知事、今回については高市早苗さんが「誰かを攻撃することで、相対的に自分たちの評価を上げることはすべきではない」と、トップが明言しないと状況は変わらないと思います。
しかしながら、そのような気配が全く見えず、むしろそれを原動力としている部分もあるのではないかと感じさせるようなそぶりを見せています。これは非常にSNSにおける言論空間において、非常に怖いことだと認識しています。
「現象」として客観視するには、政治から離れる必要がある
このような波が現在のSNSの現状を形作っていると考えると、単に批判することは可能ですが、私はコラムニストである以上、「現象として客観視する必要があると考えています。
そうした観点から、政治のプレーヤーとしてではなく、言論側の人間として一線を引いた方が良いのではないかと判断したのが一つ目の理由です。
企業・団体献金は、全く解決していない
もう一つ、これも高市政権に関する流れですが、自民党と維新が「連立」となりました。「大臣を派遣していない閣外協力は、本当に連立と言えるのか」と言われ、私もそう思いますが、世間では連立と呼ばれているので、そうなのでしょう。
自民党は本来、最初に突きつけられたのは、政治資金における企業・団体献金の見直しや廃止でした。その理由で公明党が連立を離れるという経緯がありました。
それを維新も突きつけたことで、前進するのではないかという期待が持たれましたが、結局は維新がそれを若干緩める形にし、「議員定数の引き下げ」を求めるようになり、今日から始まった臨時国会でまとめられる方針です。
あえて「議員定数を増やす」方向性もある
私は、議員定数の見直しについては慎重であるべきだと思います。削減が本当に必要かどうかも考えなければなりません。確かに都内の杉並区では議員報酬が年間1000万円を超える場合もありますが、それでもすぐに削減すべきだとは思いません。
地方では、さらに少ない報酬になるでしょう。「もらいすぎ」の調整は必要ですが、むしろ「議員の数を増やす」という考えもあるべきだと考えています。
例えば、杉並区議は現在48が定数ですが、これを100人に増やす。報酬が半額でも成り立つような「兼業プレーヤー」を増やすことで、さらなる多様性や新しい価値観に基づく議会参加が育まれるのではないかと思います。したがって、議員定数の安易な引き下げには反対です。
国政選挙で決める重大事を、2つの政党だけで決めるな
また、これは衆院選において国民の信を問うてからでなければ、進めるべきではありません。しかし、これを自民と維新といった2つの政党によって、安易に数の論理で決定してしまうのは、非常に有権者や国民の民主主義における権利を軽視しているのではないかと私は考えます。
現在、私のように多様性を求める人間よりも、数少ない少数精鋭のプロフェッショナル(?)を世の中が求めているという方向性が強く感じられ、そのため今後も、私が目指す「多様性のある政治」を進めることが難しいと感じています。
したがって、663票という杉並区議選でいただいた思いはこれからも大切にしていきたいですが、SNSを通じた政治参加が過激になり、それに歯止めが利きそうもない状況と、少数精鋭の政治システムに移行しつつあるという状況から、私が今の政治の世界では求められていないという民意だと受け止め、この度の決意に至りました。
それでは、ありがとうございました。
(以上はコラムニスト・城戸譲が、ポッドキャスト「のらニュース」などで話した内容を、AI文字起こし・要約によってブログ記事化したものです。公開時点で最新情報ではない可能性があるため、その点はご了承ください)