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備蓄米めぐる「JA解体論」は、なぜ起こったのか? 「納得いく説明」求める消費者と組織のギャップ広がる

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ブログ本文を元に、DALL-E3にて生成

2025年6月29日日曜日、のらニュースでございます。

今日も今日とて朝ではなく夜更新です。ちょっと昨日帰って来るのが遅かったので、夕方から録音しています。やっぱり週末というと大きなニュースが出づらいので、数日前のお話を紹介させていただきます。

日本農業新聞からインタビューを受けました

6月26日の「日本農業新聞」に私のインタビューが載っています。「JAは消費者の『なぜ?』に向き合い説明を」「ネットメディア研究家・城戸譲氏に聞く JA批判への対応」というタイトルです。

きっかけは5月末に、東洋経済オンラインで備蓄米のことについて書いたことでした。

「備蓄米放出か、小泉大臣やるじゃん」「JAはもう解体しちゃえ!」は非常にマズい考えだ…。小泉大臣「備蓄米放出」騒動に抱く"危うさ"の正体
「コメ買ったことない」発言で辞任した江藤拓農水相の後任に、小泉進次郎元環境相が就任して、注目を集めている。期待されているのは、まさに交代劇の背景にある「慢性的なコメ不足と価格高騰」に対する抜本的な解…

今まで入札だったものを随意契約で放出するというのを、小泉進次郎さんが農林水産大臣になってまず表明して、盛り上がっていたタイミングだったんですけれども。そこから即座に、JA解体論に移るというのは非常に危険だよと。

これは別にJAに限った話じゃないんですけれども。長年あるものが「巨悪の根源」だという風になって、それを打ち砕くことで改変を覚えるという側面が、ネット文化ではあるわけですよね。それを一番活用したのが「NHKをぶっ壊す!」のNHKから国民を守る党(NHK党)です。

最近は財務省の解体デモも、要はブラックボックス化していて、旧態依然とした既得権益に守られている組織に対抗しようとしている。これと似たような構図が、今回のJA解体論にもあるんじゃないかということを東洋経済オンラインに書いたところ、日本農業新聞の方から詳しく聞きたいというお話がありました。

中立性に悩みながらも、インタビューを請けた

で、最初は受けるかどうか悩んだんですよね。調べていただければ分かるんですが、この日本農業新聞は、JA(農協)の系列なんですね。毎日刊行されていて、業界紙の一つではあるんですけれども、経営母体としてはJAグループで、機関誌的な位置づけなのです。

私は「JA擁護」「JAバッシング」どちらにくみするわけでもなく、客観的なところから「JA解体論を唱える是非」を考えていたので、中立性の観点から非常に悩みました。ただ、お声掛けいただいた以上はお答えしたいなと思ったので、農業新聞本社に行ってインタビューを受けました。

1時間ちょっとお話ししていたんですが、まあペラペラと話し始めると止まらなくなる。うまくまとめていただいた記事を、全文掲載しますので、それをご覧になっていただければなと。

ネットメディア研究家・城戸譲氏に聞く JA批判への対応

 米価の上昇に伴い、消費者が不満の矛先をJAに向ける声が少なくない。「JAが米高騰の元凶」、「備蓄米が出回らないのはJAのせい」など誤った認識の投稿も交流サイト(SNS)上で目立つ。JAの米の再生産価格について理解を求めた発言などが、インターネットなどでは批判の対象となることも。JA批判の現状や今後どう対応すべきなのかをネットメディア研究家の城戸譲氏に聞いた。

――JAへの批判が散見されています。

 JAが米の価格の正当性について発言するだけで炎上している。

 原因として考えられるのは、一部消費者が米の生産にどれぐらい費用がかかっているのか、JAがどんな組織で何をしているのかをイメージできていないことだ。

 例えば備蓄米放出。随意契約米よりも入札米の流通が遅く、価格が高いことに消費者はJAが悪いと批判した。米が消費者に届くまでの流通経路は普段あまり知られていないので不安の高まった一部消費者による決めつけで「悪いことをしている」と批判しているのではないだろか。

――批判される組織の特徴は。

 JAなどのように大きくて、政府と近く、歴史がある組織では、既得権益と見られがちだ。さらにどんな事業をしているのかが分かりにくい。過去に批判の的になった郵政民営化の時と比べ、今はネットが普及し一部消費者から誤った情報が発信、拡散され、批判の激しさが増している。今回は食に関係する問題なので、日々の生活に直結した国民の関心が高い。

――今、JAが対策できることは。

 多くの消費者が農産物を買うのはスーパー。農家から消費者に届くまでの流通の流れでJAは何をしているのか知らないので、そういった部分を見せることから始める必要があるのではないか。消費者の「どうして米が高いのか」などの情報をいったん受け止め、実際はどうなっているのかを分かりやすく説明することで消費者の理解につながっていく。対決よりも向き合う構造が大切だ。

(尾原浩子、国本晃、藤平樹)

流通経路を可視化することから、「誤解」を解くべきだ

JAは生産者と消費者の間にいるけれども、なかなかその存在が見えてこないことが問題です。「○次問屋」のような仲介業者の存在や、どういう商取引が行われているのかが一切見えてこないことが、一番の問題なのです。

消費者は、農家のイメージは付いても、お米屋さんやスーパーで手に取るところしか接点がない。だからその間の流通経路が見えず、全国規模で大きい組織、しかもブラックボックス化しているとなれば、「どういう存在なのか分からない」という受け止めになってしまいます。だからこそ必要なのは、「JAがやっていることは何なのか」を伝えるべきというお話をさせていただきました。

まあ、JAは向き合うべきは生産者なんですけれども、消費者の方にももっとアピールする必要がある気がするんですね。実態が見えないので、イメージも付きにくいところから勝手に妄想して、「ちょっと違うな」「怪しいな」と感じてしまう。その辺をしっかりと押さえておかないと、バッシングを受けても仕方ないなと思います。

進次郎節に「けんか腰」になっちゃいけない

では、どういう発信をしたら良いのか。いろんな手が打てますが、ひとつは「立ち向かう姿勢を見せるのは、あまり得策ではない」。数日前も、進次郎さんが日本農業新聞の報道について少し皮肉めいたことを書いていましたが、そういう「あおり」に牙を向けないことです。

影響力のある進次郎さんの発言で、消費者の感情が「JAバッシング」に向く可能性がある。そこでムキになるのではなく、しっかり誤解を説明することで、消費者を味方に付け、信頼を築く形が望ましいんじゃないかと。

圧倒的に「身近に感じる発信」が足りない

中身がよく分からないから「巨悪の根源」と批判されているということを考えると、JAには色んな組織がありますが、たとえばJA全中(全国農業協同組合中央会)の会長が出てきて、フランクに話すとかでも、世間の印象は変わってくるでしょう。

全国農業協同組合中央会 - Wikipedia

TikTokで踊ってもいい。踊ることは根本的な解決策ではないですが、何か「怖い」という感覚を改善することを、少しずつ実践していった方がいい。ただ、そういう発信を今までJAはあまりしてこなかったですね。

CMを見てもJAバンクとかJA共済のCMはやっていますが、流通部門のCMはほとんど見たことがありません。「パールライス」とか商品ベースでのものはありますが。

後ろめたいものがなければ、全てさらけ出せばいい

流通ルートの可視化が必要で、後ろめたいものがなければすべて言ってしまえば良いわけです。例えば、備蓄米に関しては、「販売まで時間がかかった理由は何なのか」「なぜこういう価格になっているのか」「適正な価格はいくらなのか」「何をもって適正な価格とするのか」。

価格は最終的に、「生産者がそれで生活できるかどうか」がメインになります。兼業か専業かによっても違いますし、組織でやっているか個人でやっているかでも変わってきます。

様々なケースに対してしっかり説明し、ケースごとのわかりやすさが消費者にイメージできるようにならないと、「JAは中抜きしているだけだ」という批判になってもおかしくありません。だから納得感をいかに高めるかが。今後の鍵を握るものだと思います。そういう話をさせていただいていましたね。

ネットの「当たり前」が、新たな発見につながるみたい

私はインターネットやSNSを眺めて十数年、仕事にしていますが、自分が思っている当たり前が場所によっては当たり前ではないんだなと、取材を通して改めて感じました。

「ネットの価値観はこういうものだ」と説明すると、意外と「そうなんですか」と驚いて受け止めていただけるんですね。だからこういった話が、各所でできたら面白いなと思っています。「農業とSNS」についての講演もやってみたいですね。あらゆる産業で「インターネットの世論は、こういう方向性にある」と伝わるだけで、だいぶ違ってきます。

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ですので、講演のご依頼などありましたら、ぜひお声掛けいただければと思います。これを機に、少しずつ幅を広げられればと思っておりますので、ぜひともよろしくお願いしますというお話でございました。それではまた次回です。

(以上はコラムニスト・城戸譲が、ポッドキャスト「のらニュース」などで話した内容を、AI文字起こし・要約によってブログ記事化したものです。公開時点で最新情報ではない可能性があるため、その点はご了承ください)
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