2025年10月26日日曜日、のらニュースでございます。
「あんなやつは死んでしまえと言えばいい」
さて、ここ数日、ちょっとメディア関係の話題が出ておりますので、まとめてご紹介しようかなと思います。まずは、ジャーナリストの田原総一朗さんが出演しているBS朝日の「激論!クロスファイア」という番組が終了となりました。
その理由として、田原さんが番組内で新総裁・新総理になられた高市早苗さんに関連して、「あんなやつは死んでしまえと言えばいい」といった発言をしたことが問題視されました。ご本人は謝罪したものの、最終的に番組は終了・打ち切りという判断になったとのことです。
確かに、他者についてのそのような表現をするのはどうなのかという意見もありますが、行動を見ていると、その発言が本来は収録されたものであれば編集できたはずで、それを怠ったという点で番組制作サイドにも問題があるようにも思います。一概に田原さん一人が悪いとは言えないのかもしれません。
「討論番組」を田原氏ひとりに背負わせてしまったのではないか
最近、政治家が登場する討論番組があまり見られなくなったというのは確かです。BSの番組では、生放送のニュース番組で1人か2人の政治家を呼び、最近の政局や政治観について話すことはありますが、かつては例えば「朝まで生テレビ」が今でも月に1回放送されているように、討論番組には長い歴史があります。
「激論!クロスファイア」が始まる前には「サンデープロジェクト」という、日曜日の午前中にテレビ朝日で放送されていた番組もあり、島田紳助さんが司会を務めていました。その中で行われていた田原さんの生討論が、今に続いているわけですが、討論番組の限界に直面しているのかもしれません。
進行役の田原総一朗さんは、もともとテレビ東京のディレクターからジャーナリストに転身した方ですが、長年にわたってこの役割を担ってきました。「朝生」が始まったのは私が生まれる前の年ですので、まもなく40年になります。その間、1人に任せっきりだったことにも、業界的なひずみが生じる可能性があるのではないかと思います。
論客が「討論の進行」に向いているかは別問題だ
意見を発することとファシリテートすることは異なる要素が求められます。優れた論客であっても、議論の中心になることが難しい場合があります。例えば、エピソードトークが上手い人や外野の意見を持つ芸人がいるとしても、司会者としての適性は別です。
そのため、討論番組においては、役割の使い分けがなかなか行われなかったのかもしれません。これに関して、もう少し時代に合わせて、多様性を持たせるような流れがあっても良かったのではないかと感じます。
この機会に討論番組が「害悪だ」といった方向に進むと、非常にもったいないと思います。BSは資金面でどこまで投じられるかという難しさはあると思いますが、新しい人を起用して、化学変化を狙ってみるのも一つの方法かもしれません。テレビ業界が縮小している中で、さまざまなチャレンジが可能かという思いもあります。
「松本人志コスプレ」が理由なら、過剰反応ではないか
この流れに関連する部分として、先日放送されたフジテレビの「酒のツマミになる話」という番組が、事前に告知されていた内容とは異なり、過去の放送を再放送する形に差し替えられたことが注目を集めています。
放送されるはずだった回では、ハロウィンが近いので、コスプレを取り上げる内容だったようですが、何の公式発表もないため、憶測に過ぎませんが、司会の「千鳥」大悟さんが松本人志さんのコスプレをしたことが影響しているという報道があります。

「酒のツマミになる話」の前身は松本さんが司会をしていた番組で、エピソードトークを持ち寄って芸人が回していくスタイルでした。それを引き継いだ大悟さんがコスプレしたことが理由だとすれば、過剰に反応しすぎではないかと思います。
説明責任は不足していると思うが…
私個人の意見としては、11月1日から「DOWNTOWN+(ダウンタウンプラス)」という吉本主導の配信サービスが始まりますが、それが始まる前に何か本人からの発言がなければ、世間が納得するのは難しいのではないかと考えています。
司法ではある程度決着がついているものの、今まで本人が公の場で話すことはなかったので、しっかり笑いの場に戻るより先に説明が必要ではないかと思います。その責任論には同意する部分があります。
しかし、一方で「ダウンタウンプラス」という新しいプラットフォームは非常に注目していますし、かなりの収益を上げる可能性が高いと思います。それは従来のテレビのバラエティを脅かす存在になることは間違いありません。
あえて「松本隠し」をすることで、オールドメディア批判につながりかねないご時世だ
テレビ局がそのことに脅威を感じているのも事実でしょうが、仮にこのコスプレが問題だとしたら過剰反応すぎるのではないかと感じます。TBSの「水曜日のダウンタウン」では過去のネタを振り返る際に松本さんが映っていることもあります。そのため、故意にそれをなかったことにすることが視聴者にどのような印象を与えるか、しっかり考える必要があります。
これは政治の問題と繋がりますが、オールドメディアがそういったことをすることへの批判に繋がりやすいため、慎重に対応すべきだと思います。仮にそれが理由であったとしても、告知のCMを流したりしている状況で、製作サイドがOKだと思っていたのに、直前になって差し替えたことは、BS朝日の件とも似た部分があります。
「現場判断」と「上層部の見解」が食い違うと、「コンプライアンス意識」が問われやすくなる
現場が何故OKを出したのか、上層部との判断がしっかり取れていないということがあると、演者が巻き込まれる現状があると思います。上層部の指示で現場が萎縮するのはよくないことですが、局全体としての統一見解ができていないのではないかと思います。
また、各局の中でも統一されていないために、コンプライアンス意識の欠如などにつながりやすいのではないかと心配しています。
この二つの事例、バラエティと政治系討論番組は内容こそ異なりますが、テレビメディアにおけるコンプライアンス意識やあれこれに関する判断について、共通している点が多いと感じます。
というようなことを考える今日この頃でございました。日曜日なのにいろいろと考えてしまいますね。ということで、また次回です。
(以上はコラムニスト・城戸譲が、ポッドキャスト「のらニュース」などで話した内容を、AI文字起こし・要約によってブログ記事化したものです。公開時点で最新情報ではない可能性があるため、その点はご了承ください)
