2025年10月16日木曜日のニュースでございます。
「くいしん坊!万才」終了発表
さて、連日政治の話題をご紹介しておりますが、たまにはちょっと毛色の違ったことをご紹介しようと思います。今日発表になりましたが、フジテレビの長寿番組『くいしん坊!万才』が11月の放送をもって終了すると発表されました。
これですね、1月の時点からこの番組が休止していたのですが、それが復活する形とともに終了となるようです。朝日新聞の記事によりますと、キッコーマンがこの番組の1社提供をしているのですが、キッコーマンとフジテレビ側は昨年の秋から終了のタイミングを見ていろいろと模索していたようです。

直接的なところで言いますと、昨年ではなく今年に入って、フジテレビの中居正広さんの問題を巡ることで、あらゆるスポンサーが一時的に広告出稿を取りやめるという流れの中で、1社提供であるキッコーマンも『くいしん坊!万才』を終了することになりました。

結構前から「週1回放送」だった
最近は週1回の放送となっていました。私がよく見ていた頃、皆さんもご記憶にあると思いますが、平日の夜9時くらい、21時台や22時台に5分番組として毎日放送されていたことが記憶に残っている方は多いのではないでしょうか。
俳優さんを中心に、さまざまなリポーターや食通の方々が全国各地を巡り、その土地の食事を楽しむ内容でした。それによっていろんな場所で醤油が根付いていることをおそらくキッコーマン的にアピールする意味合いがあったのではないかと思います。
そこで今日、話題にしたいのは、広告出稿における1社提供の番組が転換点に来ているのではないかという象徴的な出来事として、この『くいしん坊!万才』が一つのきっかけになるのではないかと感じたのでお話しさせていただきます。
メディアの収益減は多様化するが…やはりCMは欠かせない
私は少し前からインターネットメディアに身を置いていますが、元々テレビも好きですし、ラジオや新聞も好きで、メディア好きなわけです。
NHKなど受信料で運営される、有料の放送などもありますが、民放テレビは基本的に視聴者にお金がかからない仕組みになっています。
その代わり、収益を立てるためには基本的に広告CMを流し、そのお金を番組制作に充てることがメインになっています。最近ではメディアも、土地開発や不動産関係やイベントなどを通じて収益構造が変わっています。
コロナ禍の前後で状況が変わっているため、どこまでそのイベントの収益が担保できているかは不明な部分がありますが、やはり放送内での収入、具体的にはCMが重要になってきます。
「キユーピー3分クッキング」には2パターンある
もちろん、15秒や30秒のCMもあれば、時には長いCMもありますが、1社提供のテレビ番組はかねてから特別な存在でした。
今も続いているもので、印象に残っているのは、例えば『くいしん坊!万才』と同じように、月曜から金曜まで毎日放送されている『キユーピー3分クッキング』があります。実は、東京では、日本テレビが制作している番組ですが、中京地区ではCBC(中部日本放送)が制作しているものもあります。全国の同じ番組で同じ番組名なのに、内容が異なる場合もあるという豆知識もありますが、一番わかりやすいのはそれくらいのものでしょう。
あとは『日曜劇場』は今は東芝がずっとやっていたと思いますが、以前は旭化成が『なるほどザ・ワールド』をやっていました。
「この木、なんの木、気になる木」
テレビの各企業がやっている1社提供の番組というのは、その社名を引っ張ってきていることが多く、番組を持つこと自体がステータスとなっていました。そして、その番組と長く寄り添うことで企業イメージを高めることもありました。
数年前、定期放送をやめ、特番で行うことになった『世界・ふしぎ発見』も、日立がずっとスポンサーを務めていて、番組の最後に「日立の木」のCMが流れていました。その際には日立グループの社名が表示されていました。このようなことは、ちょっと前までは普通に見られたわけですが、最近は潮目が変わりつつあるのかもしれません。
最終的には、『くいしん坊!万才』が終了した背景には、中居さんの問題も無関係ではないでしょうが、終了のタイミングを見計らっていたと報じられており、また丸50年という節目に関連しているのかもしれません。しかし、ここでの変化は一つの大きな出来事だと考えます。
テレビがネットと違う「利点」
だからといってテレビの影響力が全くなくなったわけではないと思います。テレビはやっぱり皆さんが見ていますし、ネットのようにスマホで見ると、AIのアルゴリズムが情報をレコメンドする仕組みがあるのに対し、テレビの場合は、制作側が何を並べるかを決定します。その結果、全ての視聴者に同じ情報が届くことになります。
それにより、視聴者は情報を精査する手間を考えなくて済むという点で、テレビメディアには安心感があります。情報の受け手からすると、非常に楽に感じられるのがテレビメディアの強みであり、その対価として受信料や広告が挟まれるわけですが、こうした観点からもテレビメディアは続いていくでしょう。
どこに「収益の柱」を置くか。スポンサーと放送局で異なる思惑
ただし、テレビメディアにおいての広告出稿について考えると、インターネットメディアへの広告出稿の方がコストパフォーマンスが高いと判断される可能性もあります。それに加えて、テレビメディアの有用性から考えると、テレビの広告が全くなくなることは考えにくい。なくなれば民放放送局は、広告収益以外の形を模索しなければならなくなるからです。
その場合、各局が受信料を取るような、半分サブスクリプション的な形に進化する可能性もあるかもしれません。現在、インターネットで提供されているTVer(ティーバー)というサービスがあり、民放各局で無料配信していますが、例えばフジテレビではFOD(フジテレビオンデマンド)という月額課金制度のサービスも提供しています。これを通じてインターネットで収益を得て、地上波を維持していく方向になるかもしれません。
ピンチはチャンス。テレビマンはおもしろコンテンツを作れるはず
このように、今後の収益の仕組みがどう変化するかは、テレビメディアにとって重要なタイミングとなっていると思います。今回のようなキッコーマンの件がきっかけとなり、大手のクライアントたちも、テレビに広告を出すことの費用対効果を再評価する可能性が非常に高いと感じています。
今後の方向性については明確ではありませんが、1社提供の番組が続々と姿を消す可能性があると考えています。ただ、その中で複数スポンサーで続けるのか、それとも番組自体がなくなるのか、低予算の番組が増えるのか。
とはいえ、テレビの制作者たちは素晴らしいアイデアを持っていますので、その発想力を生かしつつ、予算がかからないものでありながら面白いコンテンツを作れる可能性があります。
そういう意味では、広告収益構造の変化がプラスに働く部分もおそらくあると思いますので、今後の展開を期待したいなと思います。テレビには頑張ってほしいと思う今日この頃です。それではまた次回。
(以上はコラムニスト・城戸譲が、ポッドキャスト「のらニュース」などで話した内容を、AI文字起こし・要約によってブログ記事化したものです。公開時点で最新情報ではない可能性があるため、その点はご了承ください)