2025年5月25日 日曜日、のらニュースでございます。
「転売」を報じることの功罪
ここ数日ご紹介している「ちいかわ」のハッピーセット、およびマインクラフトのハッピーセット、どちらも即完だったようですね。

まあ、そうだろうなとは思いますけれども、なかなか難しい部分もありますよね。これだけで注目を集めていて、やはり転売が多いというような事実を報じることで、「あ、これで稼げるかも」という感じの新たな方々が参加する可能性があります。
そう考えると、どこまで報じていいものか、ということもありますね。第二弾などもあるので、そのタイミングで各社が報じることがどこまで適切だったのか、少し考えさせられます。
むしろ、よく犯罪などで模倣犯が現れるような例と同様に、「こういう方法で殺害しました」といった詳細を伝えることで、似た手法を取ってしまう新たな容疑者が生まれることがあります。
この話題を取り上げている私もそうですが。この辺のさじ加減は、いろいろと考えなければいけないなと思います。
アルバム『Gen』の広告が“炎上”状態に
さて、日曜日ということであまりニュースがないのですが、ここ数日話題になっているニュースをご紹介しましょう。
星野源さんの新しいアルバム『Gen』の広告について、炎上状態になっているというお話です。
このアルバムの発売は5月21日で、もう4日ほど経っていますが、発売を記念して、町の空間や生活に溶け込むような形のデザイン広告を3パターン制作したと発表されました。
これを手がけたのは「バーグハンバーグバーグ」という広告会社ですが、厳密には広告会社なのかウェブ制作会社なのか、表現が難しいところで、後ほど詳しくお話ししようと思います。
その会社が公式のX(旧Twitter)で、この広告を手がけたことを報告しています。
1つ目は、昔の法律に基づいた看板を復刻させるような看板の掲示です。
2つ目は、銭湯の広告、例えば鏡の下などによくある広告で、私もリアルタイムで目にしたことはありませんが、多くは地元の商店や全国展開しているようなものが広告出稿されがちなタイプです。
「音楽の力で毎日いきいき」 ポスターを忠実に再現
3つ目は、街中にある自治体が設置している掲示板です。
私が住んでいる杉並区には「でんごんくん」と呼ばれる掲示板(※杉並区の場合は営利目的の掲示はNG)がありますが、そういったところにポスターを掲示したという3パターンの広告を制作、展開しているとXで告知していました。
これを受けて、「これどうなの?」というような反応が出ています。
特に問題視されているのがポスターの部分です。
このポスターは、英会話教室の「集まりましょう」といった雰囲気のものに似ています。
地域によっては掲示板がないところもあるかもしれませんが、都市部ではよく見かける掲示板です。
英会話教室や勉強会の案内掲ポスターに似せており、実際に公式サイトに掲載されている画像もそうしたポスターのように見えます。
「星野源さんの曲を聴いて楽しく踊りませんか」というメッセージが書かれており、星野源とはどんな人か、どんなアルバムかという説明とクレジットも入っています。
イラストとともに「音楽の力で毎日いきいき」と書かれており、確かにこういうところに貼ってあるポスターは「いきいき」という表現を使いがちですよね。とても説得力のある内容で、うまく作られていると感じました。
しかし、公衆の掲示板にこのような商業的なポスターを貼ることはどうなのか、という声が多数あり、結果的に大きく燃え上がった経緯があります。
前述のように、英会話教室やフリーマーケットの案内など、そういった掲示物に準じた形で掲示したのでしょうが、その使い方が適切かどうか疑問視されています。
掲示は規則に反しているのか?
女性自身が5月23日に取材記事を出し、不適切な指摘もある中で、星野源の公衆掲示板での最新アルバム告知に賛否が分かれていると報じました。

このポスターは2か所に掲示されていますが、一方である横浜市の担当部署へ女性自身が取材したところ、事前申請は必要なく、禁止掲示物はいくつか決まっているものの、それに準じて掲示したのではないかということです。
当該ポスターの掲示期間は5月21日から6月18日までで、東京の品川区と横浜市の掲示板の2か所に貼られているということです。なお横浜市の方は、掲示期間が1回につき10日以内に限られており、告知投稿には「1週間限定」と表記されていました。
なおバーグハンバーグバーグの説明文には「※ポスターについて各自治体のお問い合わせはご遠慮下さい」とも書かれています。
女性自身の記事の取材は問い合わせを含むものではありますが、世間の話題としては意義があります。
ただ投稿には「※ご覧になられる際は周囲へのご配慮をお願いします」といった注意書きもあることには、批判の声も上がっています。
画期的な試みだと評価できるけど…
私自身はこの取り組みを非常に面白いと感じています。
個人がイベントの募集などに使うことの多い掲示板に対し、ずっと活躍しているメジャー中のメジャー歌手が、公式の広報に使うというところに新鮮さがあります。
また、このような広告の形態が新しい可能性を示していることや、コストを抑えて広告が出せることも知ってもらう意味で面白い試みだと思います。
一方で、ご指摘のとおり、これが許されるようになると、無制限に広告掲示が増えてしまい、無許可の状態が広がるリスクもあります。確かにそれも大事な論点であり、避けることはできません。したがって規制やルールをしっかりと明示する必要がありそうです。
こうした公営掲示板の使い方について、杉並区の「でんごんくん」では小さく掲示板の上に書いてあります(※杉並区の場合は営利目的の掲示はNG)。

どのような掲示物がOKで、どのようなものがNGか、選挙ポスターなども絡んできますので、何を基準に判断するかは今後の課題です。
強固な「オモコロ」ファンコミュニティーが生むギャップ
ネットメディアの文脈で言いますと、バーグハンバーグバーグは有名なサイト「オモコロ」を運営しています。

独特なセンスでコンテンツを展開し、出す記事は必ずバズるというすごい生産力があります。ただ、一方でコミュニティが非常にしっかり固まっていて、オモコロのファンコミュニティの人たちと、そうでない人たちの間に価値観のギャップが生じているのではと感じる場面もあります。
その連帯感が、逆に人気をさらに高めている側面もあります。ただ、それが擁護する側が強く熱心になる結果を招き、「何がOKで何がNGか」の線引きが、あいまいになってしまう可能性もあります。
今のところバーグハンバーグバーグはしっかり線引きできている印象ですが、今回の件をきっかけに「コンテンツの出し方」を考え直す必要が出てくるかもしれないと、少し心配しています。
それではまた次回です。
(以上はコラムニスト・城戸譲が、ポッドキャスト「のらニュース」などで話した内容を、AI文字起こし・要約によってブログ記事化したものです。公開時点で最新情報ではない可能性があるため、その点はご了承ください)