(以下はコラムニスト・城戸譲が、ポッドキャスト「のらニュース」などで話した内容を、AI文字起こし・要約によってブログ記事化したものです。公開時点で最新情報ではない可能性があるため、その点はご了承ください)
2025年5月16日金曜日、のらニュースでございます。
今日は仕事のあと一段落して、夕方から4時間ほど、20キロちょっとウォーキングをしてまいりました。
少し疲れてはいますが、夜中ではありますが、のらニュースをお伝えしようと思います。
本日ご紹介するニュースはこれです。
中谷防衛相、ふたたび会見して不適切だと訂正
中谷防衛大臣が本日、臨時の記者会見を開き、愛知県犬山市で自衛隊の練習機が墜落した件について、搭乗員と見られる体の一部が見つかったと発表しました。その場で、「搭乗員らしきもの」と中谷大臣が発言したことが物議を醸し、謝罪と修正があったという報道が出ています。
現在、TBS NEWS DIGの記事を拝見していますが、中谷大臣が「搭乗員らしきもの」という表現を使ったことについて、記者団から「もの」という表現は不適切ではないかと指摘が上がったとのことです。

その場では訂正しなかったものの、その後改めて会見を開き、発見時の状況が過度に明らかにならないよう、「搭乗員らしきもの」とあいまいな表現を使ったことについて不適切な点があったと謝罪し、「体の一部」という表現に訂正しました。
この「搭乗員らしきもの」という中谷大臣の発言をそのまま記事にしているニュースは、かなり多くあります。
例えばNHKのニュースですが、最初は少し表現が変わっていまして、こちらも後ほどお伝えしますが、最初に報じられたタイミングでは速報として「愛知 航空自衛隊機の墜落事故『搭乗員らしきもの発見』防衛省」となっていました。これを見たとき、私は非常に胸が痛みました。
「自称・広末涼子」報道と、根幹にあるものは同じ
その段階では、中谷大臣の発言だとは認識しておらず、ちょうどウォーキングの合間にプッシュ通知で届き、信号待ちのタイミングでパッと見て、歩みを止め、反射的に投稿しましたが、もっと言い方があるのではないか、防衛省が「らしいもの」と言っても、その表現をメディアがそのまま伝える必要はないのではないかと思いました。
今は感情の面が非常に問われる時代です。マスコミと言っても、高圧的な態度をとるわけにはいきません。大手メディアであれば、政府や官庁の会見に、記者クラブというものがあり、選ばれた一部の記者のみが参加でき、そこで情報を制限しています。
最近よく話題になる例で言えば、「自称・広末涼子容疑者」という表現がありますが、あれも警察発表に「自称」とついているので各社も「自称」と報じたわけです。
しかし、そこで一瞬立ち止まって考え、判断するべきです。それがされず、長く続いてきたものをそのまま掲載し、疑う余地もなく報じるメディアの体質になってしまっています。それでも仕事は成り立ってしまっている現状があり、だから「自称・広末涼子」といった表現になってしまうのです。

私は以前からその指摘をしていますが、今回のニュースにも同じことが起こっているのではないかと思います。
「防衛省」ではなく「防衛相」だったら、見出しとして問題なかった
(ここから音での「ぼうえいしょう」を説明)ここでご紹介したNHKのニュースタイトルの「防衛省」とは、防衛大臣ではなく、財務省や外務省と同様の省庁としての「防衛省」です(ここまで)。ですから「防衛大臣が発言した」と報じる分には問題なく、ニュースの価値や重みが変わります。
分かりやすく言うと、NHKの見出しは「防衛省(組織)が発表で『らしきもの』という表現を使った」という読み方ができますが、もし初報に「中谷防衛相『乗員らしきものを発見』」となっていれば、おそらく内容も伝わりますし、大臣自身の発言であることも明確になります。大臣の表現だと判断できなくても、そのようなスタンスの表現の仕方が見出しでも可能ではないかと思います。
今、NHKの見出しを例に挙げましたが、「らしきもの」という表現をそのまま使ったメディアは多く、テレビの18時台の報道も同様だったようです。私はウォーキング中でしたが、各社がその表現を使っていたのだとしたら、もう少し報道する側が責任感を持つべきだと思います。
見出しを変えても、その事実に触れない「こっそり修正」
ここまでで私は非常に腹が立っていますが、NHKの「乗員らしきもの」という見出しの報道、今その記事を開くと、タイトルが変わっています。内容は「愛知 航空自衛隊機の墜落事故」までは同じですが、その後が「 “搭乗員か 基地に搬送”」と、ダブルクォーテーションで括られた表現になり、最後に「防衛省」となっています。これは21時28分のタイムスタンプなので、おそらく掲載から3時間ほど経って見出しが変わった形です。

これもまた不誠実だと思います。もちろん元々のニュースに若干触れてはいます。前半部分は自衛隊機の事故経緯、14日に行方不明となり16日に体の一部を発見した、という情報が載っています。そして後半に、中谷防衛大臣が発言を謝罪したと触れています。
発言内容が不適切だったということを書いていますが、この記事を最後まで見ても「元々こういった見出しで報じていました」とは書かれていません。
Xの投稿でもNHKは同様に報じていましたが、それに対して何の言及もない。謝罪まではしなくとも、こちらも「最初はそう報じていた」という事実を完全に消したまま、訂正・謝罪だけ伝えるのは中立性に欠けるのではないかと思います。
一番責任があるのは、もちろん大臣だ。でも…
今日の出来事や会見の話で一番問題なのは、中谷大臣が軽率な表現を使ってしまったことです。
しかし別の問題として、その発言をそのまま流し、それについて何の言及もしないメディアがどういう存在なのか、という問題があります。
問題ある表現だと感じたからこそ見出しを変えたと予想しますが、メディア側からすれば、「状況が変わったから見出しを変えただけで、悪いと思って変えてはいない」というような言い分になるかもしれません。
しかし読者はそう受け取りません。
こうした媒体が、“オールドメディア”と揶揄されて、厳しい状況にある中、誠実で確実なメディアとはどうあるべきか。それをを示すのが、公共放送であるべきだと思います。
今日はフジ・メディアホールディングスの新たな社外取締役候補の話もしたかったのですが、この怒りだけで12分も話してしまいそうなので、この辺で終わりにしたいと思います。
やはり、一度口に出した言葉は、自分で飲み込まなければならないと思いました。
それではまた次回です。